2010年9月23日木曜日

ドランテス「シン・ムーロ」

ドランテスは不思議な存在だ。
父はギタリスト、ペドロ・ペーニャ、叔父に歌い手レブリハーノ、
祖母も歌い手ペラーテと、レブリーハのヒターノばりばりの家系に生まれ育ちつつ
その音楽はクロスオーバー。ニューエイジなフラメンコとでもいうべき?
で、固定のファンをもちマエストランサ劇場は満員。

©Luis Castilla/Bienal de Flamenco

コントラバス、パーカッション(従兄弟のテテ・ペーニャ)、
ウエルバの双子のパルメーロメジとともにはじめた最初の曲は
ジャズフラメンコ風のブレリア。
パルマのアクセント、強弱のつけかたなどがよく考えられていて面白い。
それにもましてコントラバス、ゲストアーティストのルノー・ガルシアが秀逸。
やはりゲストのエスペランサ・フェルナンデスが華をそえたグラナイーナでは
坂本龍一的な感じもあり、
父ペドロ・ペーニャ、兄のギターの入るソレア、
再びエスペランサが入るグアヒーラ、
ジャズ風グルーブのタンゴ、
ラファエル・デ・ウトレーラやアルゼンチン人バンドネオン奏者の入るアレグリアス。
そのあとのシギリージャスが私の一番のお気に入り。
パルマが早いテンポのシギリージャをきざみ、
バンドネオンのせいもあってか、ピアソラ風にもきこえる音楽に
父の、プリミティブな味わいのシギリージャのカンテがからむという面白いもの。
それまでのリラックスモードから一気に目が覚めた。
うん、これはもう一度きいてみたい。
最後の全員でのブレリアではそれぞれのソロもあり、
ペレのソレアのカンテも加わり、
2時間以上にわたるリサイタルは終了。

フランス、キューバ(ウッドベース)、アルゼンチン、と
国籍もプログラムに書かれているのは「シン・ムーロ」壁のない、
世界という、リリース予定の新譜のコンセプトゆえか。
ホリゾントにイラストや写真をうつしだすなど、
スペクタクルとしても考えてはいると思うのだが、
同じような感じのフレーズの繰り返しも多く
2時間超はいかにもながい。

なお、予定されていたレブリハーノは親戚の死で、またホセ・メルセは健康上の理由で
出演できなかった。


なお、アラメーダ劇場では23時からアントニオ・カンポスのリサイタル。

©Luis Castilla/Bienal de Flamenco

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