2010年9月17日金曜日

トランキーロ・アルボロト

1980年セビージャ生まれのルベン・オルモ。
ハビエル・バロンのカンパニーで初舞台をかざり、
後、スペイン国立バレエで活躍。
2006年には自らの舞踊団をたちあげ、
「ベルモンテ」「ピノキオ」とオリジナルの作品を発表してきた彼が、
セビージャに本拠を移しての初の作品がこの「トランキーロ・アルボロト」。

ズボンをはかず長めのシャツだけで踊る、意表をついたオープニング。
ダンスシューズで踊るそれはバレエ的、コンテンポラリー的。
重心が高く、美しい動きは
スパニッシュ・コンテンポラリーとでもいうべきものだ。

袖幕やホリゾントをとりはらい、舞台裏をみせた中でおこなわれる
レッスン風景が第2景。
ルベンがダンサーたちに指示しながら踊るという構成は
ガデスのカルメンや映画「血の婚礼」のオープニングをおもいおこさせる。
振り自体は、途中でふいにストップするところなど現代的。
回転のときの首のつかいかたや、腕の位置など、細部が美しい。
4人のバイラオーラ、3人のバイラオールたちのレベルの高さに脱帽。
一般の踊り手たちの技術のレベルというのはどんどんあがっている。

第3景は聖週間につきものの太鼓とコルネットなどのバンドの伴奏で
キリスト像のガウンをまとったルベンのソロ。
これもダンスシューズで、第1景と似た振りが繰り返される。

続く第4景はマヌエラ・バルガスへのオマージュ。
ルベンは白地に赤の水玉のバタ・デ・コーラで登場し薄明かりの中でミラブラスを踊る。
男性のバタ・デ・コーラはホアキン・コルテスやラファエラ・カラスコ舞踊団などでも前例があるが、髪に櫛をさし、というのは珍しい。その顔をみせないようにするためか照明は暗い。女性の格好をしていても、動きのあちこちにはやはり男性が顔をだし、そのへんのミスマッチが面白いといえないこともないが、中途半端な感じもまぬがれない。

第5景、イスラエル・ガルバン振り付けの「ファルサ・ファルーカ」は文句なく面白い。
「ファルーカがガリシア由来なんて嘘」という会話からはじまるこの小品は
ガイタ(バグパイプ)の伴奏でのファルーカ。
イスラエルらしい振り付けなのだが、イスラエルよりも重心が高く、
回転や跳躍などバレエ的テクニックを得意とするルベンだけに
イスラエルもそれをいかして振り付けたようだ。
バグパイプ奏者とのかけあいもユーモアたっぷりでとにかく楽しい。

第6景はフラメンコ組曲。
全員でのファンダンゴ、男3人と女1人のシギリージャ、女たちのグアヒーラと、
先のレッスン風景で練習していた曲とハレオ、タンゴの5曲。
ファンダンゴの赤いバタ・デ・コーラ、
グアヒーラの白いドレスにマントン、
ハレオのヒターノ風の衣装、と女性の衣装(フスト・サラオ)がすばらしい。
伝統的なかたちの衣装はやはり美しい。


最後は超大判のマントンでのルベンのソロ「エル・ブエロ」
これもバレエ+マントンという感じ。マントンのフレコ(房)が舞い、鳥のようだ。
(写真Luis Castilla. Bienal de Flamenco)


ひとつの作品としての統一感があまり感じられない。
おもいつくまま、やりたいことをやったせいだろうか。

客席はマティルデ・コラル、クリスティーナ・オヨスをはじめ、
ミラグロス・メンヒバル、ラファエル・エステベス、ナニ・パーニョス、
マリベル・ラモスら踊り手がめじろおし。
それだけ注目されているということなのだろう。
まだ30歳。これからの展開に期待したい。


なお同じ16日、ロペ・デ・ベガ劇場ではレブリハーノの「カサブランカ」

(写真Luis Castilla. Bienal de Flamenco)
アラメーダ劇場ではダビ・カルモナのリサイタルが開催されました
(写真Luis Castilla. Bienal de Flamenco)

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