奥にはギターやチェロが吊るされている。
ん?
てな気持ちで席につき、開演すると
ビデオがうつしだされていたスクリーンは実は白いテーブルで
コック姿のダビ・コリアがテーブルにボールをおきつつ踊る。
一直線に並んだ白い机
ラジオとおぼしき音楽が遠くにきこえる
150 グラムの考えは、料理にたとえた作品。
アントニオ・カンポスがシェフ、ダビ・コリアをアシスタントに
チェロのホセ・ルイス・ロペス、ギターのカーノとヘスース・トーレスという道具をつかい
ラファエラ・カラスコをどう料理するか、という趣向。
歌い手のアントニオ・カンポスがギターを弾き
ラファエラがマラゲーニャを歌いながら登場
黒いタンクトップに黒いズボン、赤いブーツ
アントニオの弾き語りするファルーカを踊るラファエラ
やがてフレコ、房のベストをまとったラファエラは
チェロのファルーカを踊る。
音楽は通常の、クラシックなファルーカではなく
どこかちょっとピアソラ風
でも彼女のパソは伝統的なファルーカをふまえつつも
彼女ならではのファルーカに仕上がっている。
つまり伝統的なファルーカを分析分解再構成しているのだ
女性がファルーカを踊ると男性振りをそのまま、
男っぽく踊るのが普通だが、
ラファエラのファルーカは、女性のファルーカだった。
おみごと!
こんなファルーカみたことない。
今年はイスラエル・ガルバン振付けのルベン・オルモのバグパイプ伴奏のにはじまって
ハビエル・バロンのバイオリンとトレスの伴奏のもの、
そしてこのチェロ伴奏の、とファルーカが大豊作!
©Luis Castilla/Bienal de Flamenco
ローレ・イ・マヌエルのヒット曲「トド・エス・デ・コロール」
ゆっくりしたブレリアをアントニオが歌い
(レシピと書かれたアンチョコをみながらなのはご愛嬌)
ラファエラがダビとパレハで踊る。
とてもとても官能的で美しい振付けだ。
みつめあうそのまなざしの濃厚さ。
直接的ではないだけに、よりエロティック。
緑のテーブルクロス?をカパ(マント)もしくはマントンのようにつかう。
そのクロスが巻きスカートとなり
カーノが立ってつまびく、フォークロック調の曲で踊るラファエラ。
その姿かたち、ポーズの美しさ。
ひとつひとつが絵のようだ
©Luis Castilla/Bienal de Flamenco
コック帽のダビが机を叩く音でみごとなサパテアードをきかせ
無伴奏で歌うタンギージョを軽快に踊る
スペイン国立バレエ団出身で、バイラリンとしてとらえられがちな彼だが
フラメンコも素晴らしい。
ワイヤレスマイクの電池をおとすハプニングもあったが
最後まできっちり踊り通した。
ラファエラは黒いパンツスーツの上に白いバタ・デ・コーラをまといカンティーニャス
歌はミラブラス、カンティーニャス、アレグリアスとまわる。
バタ・デ・コーラさばきはいつもながらに素晴らしく
ムイ・フラメンカだが、スカートの前の部分が短くなっていて
黒いパンツと赤いブーツがみえるのはいただけない。
彼女には彼女の考えがあってのことだとは思うのだが…
とてつもなく繊細なシレンシオ。
ゆっくりと動くバタ、腕の動きの女性らしいつややかさ。
少しかがみがちなのはなぜだろう。
古典的な振付けも現代的な美しさに再現されている
最後はゆっくりとしたブレリアで終わる
チェロとカーノのルンバでまたもやアンチョコみながら歌うアントニオ
その間にバタを脱ぎ捨て
ヘスース・トーレスの美しいギターソロで
薄いガウンをまといコンテンポラリー風の振付け
最後は白い、羽のようなひらひらのついたベストをまとって
パルマ伴奏のアバンドラオ
黄色い照明の美しさ
そして彼女の回転のすばらしさ
衣装のことなど不満もあるが
コンパクトで、新鮮な、佳作といっていいだろう。
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